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【昇華転写プレス入門】熱転写プレス機の使い方と失敗しないためのポイント

オリジナルTシャツやユニフォーム、ノベルティグッズなど、ポリエステル素材にフルカラーのデザインを鮮やかに再現できる「昇華転写」。近年、小ロット対応や多品種展開のニーズが高まるなかで、昇華転写プレスへの注目が増しています。

本記事では、昇華転写の基本的な仕組みから、熱転写プレス機を使った実際の作業手順、そしてよくあるトラブルとその対処法まで、導入を検討されている方に向けてわかりやすく解説します。

昇華転写とは

昇華転写の仕組み

昇華転写とは、専用のインクで印刷された転写シートを素材の上に重ね、熱と圧力を加えることでデザインを素材に定着させる技法です。「昇華」とは、固体が液体を経ずに直接気体に変化する現象のこと。昇華転写では、加熱によりインクが気化し、ポリエステル繊維の分子構造の中に浸透・定着します。

このため、プリント面の手触りは素材そのままで、インクが表面に「乗っている」感覚がありません。洗濯を繰り返しても剥がれにくく、発色も鮮やかなのが大きな特長です。

他の転写方式との違い

Tシャツなどへのプリント方法にはさまざまな種類がありますが、昇華転写は以下のような点で他の方式と異なります。

昇華転写 シルクスクリーン カッティングシート
色数 フルカラー対応 色数が増えるほどコスト増 単色〜数色向き
手触り 素材そのまま インクの厚みあり シートの厚みあり
耐久性 高い(繊維に浸透) 高い 剥がれリスクあり
小ロット 得意 版代がかかる 対応可
対応素材 ポリエステル素材 幅広い素材に対応 幅広い素材に対応

昇華転写は特にフルカラー・写真画質のデザインを小ロットから対応したい場合に適した方式です。ただし、ポリエステル素材(またはポリエステルコーティングされた素材)が前提となる点は押さえておきましょう。

昇華転写プレスを成功させる3つの要素

昇華転写の仕上がりを左右するのは、「温度」「圧力」「時間」の3つの要素です。この3つのバランスが適切でないと、色が薄い、ムラが出る、にじむといった問題が発生します。

  • 温度:インクを気化させるために必要な熱量です。低すぎるとインクが十分に気化せず、色が薄くなります。高すぎると素材を傷めたり、にじみの原因になることがあります。
  • 圧力:転写シートと素材を均一に密着させるために必要です。圧力が不均一だと、部分的に色が薄くなったり、転写ムラが生じます。
  • 時間:インクが気化して繊維に浸透するのに必要な時間です。短すぎると定着不足、長すぎるとにじみや素材の変質につながります。

最適な設定値は、使用する素材・インク・転写シートの種類、さらには仕上げたい色味によって異なります。各メーカーの推奨条件を確認し、テストプレスを行いながら最適な条件を見つけることが重要です。

熱転写プレス機の使い方(手順解説)

ここでは、株式会社イツミ製の熱転写プレス機「AF-54TEN」を例に、昇華転写の基本的な作業手順をご紹介します。※他機種や他メーカー製品の場合には手順が異なる場合もございます。

Step 1:電源を入れ、各種設定を行う

電源を入れ、温度・圧力・時間を設定します。設定温度に達するまで待ちましょう。プレス機が十分に温まる前にプレスを開始すると、設定温度に達していないため転写不良の原因になります。

Step 2:素材をセットする

下コテ(プレス機の下側の台)に、Tシャツなどの転写したいポリエステル素材を平らに置きます。このとき、シワが残らないように丁寧に伸ばすことが非常に重要です。シワがあると、その部分に圧力が均一にかからず、転写ムラや白抜けの原因になります。

Step 3:裏移り防止の紙を挟む

Tシャツなど筒状の素材の場合、転写したい面の下に紙を挟みます。これは、加熱時にインクが裏面(背中側など)に移染してしまうのを防ぐためです。この工程を省くと、意図しない面にインクが付着してしまうことがあるので注意しましょう。

Step 4:転写シートをセットする

転写シートを、デザインが正しい向きになるようにして、プリント面(インクが印刷されている面)を下向きにして素材の上にセットします。転写シートの向きを間違えると、デザインが反転してしまったり、そもそも転写されなかったりしますので、セット前に必ず向きを確認してください。

Step 5:転写シートの上に紙をのせる

転写シートの上に紙(捨て紙)をのせます。これは、気化したインクが上コテ(プレス機の上側の加熱面)に付着するのを防ぐためです。上コテにインクが付着すると、次回以降のプレスで別の素材にインクが移ってしまう原因になります。

Step 6:プレス開始

緑色のスタートボタンを2つ同時に押すと、コテが自動で下がり、プレスが開始されます。ボタンが2つあるのは安全設計のためで、両手で同時に押すことで、プレス中に手が挟まれる事故を防止しています。プレス中は機械に触れないようにしましょう。

Step 7:プレス終了

設定した時間に達すると、コテが自動で上がり、プレスが終了します。自動で開くので、タイマーを別途用意する必要はありません。

Step 8:取り出し

上にのせた紙と転写シートを外し、品物を取り出します。プレス直後は素材が高温になっているため、やけどに十分注意してください。転写シートは速やかに剥がしましょう。時間を置きすぎると、余分なインクが再転写されてにじみの原因になる場合があります。

よくあるトラブルと対処法

昇華転写プレスでは、条件設定や作業手順のわずかなズレがトラブルにつながることがあります。ここでは、代表的なトラブルと考えられる原因・対処の方向性をご紹介します。

トラブル 考えられる原因 対処の方向性
デザイン位置がズレる 転写シートを素材の中央に設置できていない。 レーザーマーカーオプション※等、位置決め支援機能がある機種もあります。
色が薄い・発色が悪い 温度が低い、時間が短い、圧力不足などが考えられます。 各設定値を見直し、テストプレスで確認してください。
色ムラ・白抜けがある 素材のシワ、圧力の不均一、素材と転写シートの密着不足が考えられます。 素材を丁寧に伸ばし、プレス面の平滑性を確認してください。
にじみ・ぼやけが出る 温度が高すぎる、時間が長すぎる、プレス後に転写シートの剥がしが遅いなどが考えられます。 設定条件を調整し、プレス後は速やかに転写シートを剥がしてください。
裏面にインクが移る 素材の下に紙を挟んでいない、または紙が小さすぎることが考えられます。 素材のプリント面の下に十分な大きさの紙を挟んでください。
デザインが反転する 転写シートの表裏を間違えてセットしている可能性があります。 プリント面(インク面)を下向きにセットしてください。

※レーザーマーカーオプションとは?

昇華転写プレス機作業において、特にストレスの大きい位置決めの問題を解決するオプションがレーザーマーカーオプションです。AF-54TENをはじめとするイツミのAFシリーズ各種熱転写プレス機には、オプションでレーザーマーカーを取り付けることができます。プレス機本体に設置されたレーザーが下コテ上の基準位置を照射するため、転写シートや素材の位置合わせを目視で正確に行うことが可能な為、位置合わせに掛かっていた時間が大幅に短縮されます。

いずれのトラブルも、テストプレスを繰り返しながら条件を調整していくことで解消できるケースがほとんどです。初めて導入される際は、本番素材と同じ生地でテストを重ねることをおすすめします。

まとめ

昇華転写プレスは、手順自体は非常にシンプルです。「素材をセットし、転写シートを重ね、プレスする」という基本の流れさえ押さえれば、初めての方でもすぐに作業を始められます。

一方で、美しい仕上がりを安定して実現するためには、温度・圧力・時間の条件出しと、各工程での丁寧な作業が欠かせません。本記事でご紹介した注意点やトラブル対処法を参考に、ぜひ昇華転写の導入をご検討ください。

本記事で使用したプレス機とレーザーマーカーオプション

熱転写プレス機 AF-54TEN

熱転写プレス機 AF-54TEN

本記事でご紹介した昇華転写の手順は、株式会社イツミ製の熱転写プレス機「AF-54TEN」を使用しています。AF-54TENは、昇華転写をはじめとする各種熱転写に対応したプレス機で、温度・圧力・時間の精密な制御と安全設計を備えています。

自動開閉機構や両手同時押しのスタートボタンなど、安全性と作業効率を両立した設計で、初めて熱転写プレスを導入される方にも安心してお使いいただけます。

製品の詳細・仕様はこちら:
https://itsumi-group.com/product/af-54ten/

レーザーマーカーオプション

レーザーマーカーオプション

本記事でご紹介した昇華転写プレス機作業において、特にストレスの大きい位置決めの問題を解決するオプションがレーザーマーカーオプションです。プレス機本体に設置されたレーザーが下コテ上の基準位置を照射するため、転写シートや素材の位置合わせを目視で正確に行うことが可能な為、位置合わせに掛かっていた時間が大幅に短縮されます。

製品の詳細・仕様はこちら:
https://itsumi-group.com/product/laser-marker-options/

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