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縮絨機(スポンジングマシン)の選び方|7つの視点をメーカーが解説

縫製前の生地に欠かせない「スポンジング(縮絨)」。これまで外注していた工程を内製化したい、あるいは今ある縮絨機(スポンジングマシン)を入れ替えたい——そんなとき、どんな基準で機種を選べばよいのでしょうか。

縮絨機を選ぶときに真っ先に注目されるのが「処理スピード」です。実際、イツミの縮絨機カテゴリページでも処理スピードを★5段階で表示しています。ただし、最適な1台を選ぶための視点はスピードだけではありません。対応素材・生地幅・加熱方式・設置スペース・メーカーの体制など、複数の視点を組み合わせて選ぶことで、自社の生産に本当に合った機種が見えてきます。

イツミは1961年創業、業務用アパレル機器を受注生産かつ完全社内一貫生産体制で手がけてきたメーカーです。縮絨機(スポンジングマシン)も、小型機から量産用の広幅機まで幅広いラインナップを揃えています。この記事では、長年の製造ノウハウをもとに、縮絨機の選び方を7つの視点で整理し、用途別のおすすめの選び方までを解説します。

スポンジング(縮絨)とは?縫製前に縮絨機が欠かせない理由

スポンジング(縮絨)の加湿・加熱・冷却・寸法安定の基本工程

スポンジング(縮絨)とは、縫製前の生地に蒸気や熱を与えて、製織や巻き取りの工程で生地に内在した歪み・張力をあらかじめ取り除き、生地を「リラックス」させる前処理工程です。縮絨機(スポンジングマシン)は、この一連の処理を加湿 → 加熱 → 冷却の流れで安定して行うための機械です。

用語の整理:「縮絨機」と「スポンジングマシン」は同じ機械です。

機械の世界では、縮絨機とスポンジングマシンは同じ機械を指す呼び方です。本記事でいう「縮絨(スポンジング)」は、縫製前に生地の歪みを取り、寸法を安定させる緩和処理を指します。ウールをあえて縮ませて生地を詰める「縮絨(フェルト化)仕上げ」とは目的が逆の、別の工程です。

この前処理を行うことで、縫製後や仕上げプレス後の寸法変化を最小限に抑え、パッカリング(縫い縮み)などのトラブルを防げます。結果として裁断精度が上がり、安定した服づくりにつながります。

「放反」だけでは足りないことがあります。 延反して生地を広げ、時間をかけて自然放置する「放反」は、主に巻き取りで残った歪みをやわらげる作業です。これに対して縮絨機は、蒸気と熱で生地に内在する張力や潜在的な収縮まで緩和し、寸法を安定させる役割を担います。

縮絨機を導入するメリット|外注との比較・内製化のポイント

スポンジングは専門のスポンジャー工場に外注することもできます。外注なら専門設備と職人の技術をすぐに活用できる一方、縮絨機を自社に導入して内製化すると、次のようなメリットがあります。

  • 外注コストの削減:反数が増えるほど、外注費の積み上がりを抑えられます。
  • 急な注文・短納期に社内で対応:外注の往復時間がなくなり、リードタイムを短縮できます。
  • 素材ごとに条件を細かく調整:蒸気量・温度・スピードを自社で追い込めるため、品質を作り込めます。
  • 省人化と品質の安定:自動運転により、人手を抑えつつ仕上がりのばらつきを減らせます。

内製化を検討したい工場の目安

  • スポンジングの外注量・外注費が増えてきた
  • 短納期・小ロットの注文が多く、外注の往復がボトルネックになっている
  • 扱う素材が多様で、素材ごとに細かく条件を変えたい

どちらが有利かは、生産量・素材の幅・納期の要求によって変わります。「内製化すべきかどうか」から判断したい場合も、お気軽にご相談ください。

縮絨機(スポンジングマシン)の選び方|7つの視点

縮絨機選びで確認したい7つの視点

縮絨機選びは、処理スピードだけで決めるものではありません。ここでは、自社に合う1台を見つけるための7つの視点を順に解説します。

視点1:処理スピード・処理能力で選ぶ

1日あたりの生産量に直結するのが処理スピード(処理能力)です。前述のとおり、イツミの縮絨機カテゴリページでは処理スピードを★5段階で表示しており、エントリー向けの小型機から量産用の高速機まで、ひと目で目安がつかめるようにしています。まずは「1日にどれだけの量を流すか」を起点に、必要なスピード帯を見極めましょう。

メーカー担当者からのワンポイントアドバイス

スピードは速ければ速いほど良い、というわけではありません。生産量に対して過剰なスペックはコストの無駄になり、逆に不足すると工程が詰まります。現状の生産量と、今後の増産計画の両方をお聞かせいただければ、★の目安をもとに最適なスピード帯をご提案します。

視点2:対応素材で選ぶ

ウール・綿などの天然繊維、ポリエステルなどの合繊、伸縮性のあるニット・ストレッチ素材では、必要な処理が異なります。特に合繊は熱で寸法が動きやすく(熱可塑性)、温度の管理が仕上がりを左右します。ニットは編地が伸びやすいため、生地を引っ張らずに送る「ノーテンション送り」が向いています。自社で主に扱う素材に対応しているかは、必ず確認したい視点です。イツミにも、天然繊維はもちろん合繊織物に対応する機種(NTS-SP5など)があります。

視点3:生地幅・小ロット対応で選ぶ

扱う反物の幅に機械が対応しているかも重要です。小幅の生地中心なのか、広幅まで流すのかで選ぶべき機種が変わります。イツミの量産用機種には、最大処理幅1,800mmに対応するモデルもあります。あわせて、1着分の短い尺や小ロットに対応できるかも、サンプル・小ロット中心の工場では大切なポイントです。

視点4:加熱方式で選ぶ

縮絨機の仕上がりを最も大きく左右するのが加熱方式です。もともとは蒸気とヒーターで熱を与える方式が主流でしたが、近年は熱で縮みにくい高機能ストレッチ素材が増え、「縮絨機にかけても思うように縮まない」というお悩みが業界で増えています。そのため現在は、扱う素材と狙う仕上がりに合わせて複数の加熱方式から選ぶ時代になっています。代表的な4つの方式を整理します。

① 下ヒーター方式(基本形)

下側からヒーターで加熱する、もっとも基本的でオーソドックスな方式です。一般的な生地の縮絨に広く使われています。

② 上下スチーム式の密着加熱方式(NTS-6200)

NTS-6200のように、上下からスチームで密着加熱する方式です。生地の素材や特性に応じて設定を変えながら、作業効率や寸法安定性を高めたい場面に向いています。後述④のベルト加熱方式とは、熱と圧のかけ方が異なります。

③ 遠赤外線(FIR)方式(NTS-717FIRなど)

NTS-717FIRのように、電熱による遠赤外線でより高い温度まで加熱できる方式です。一般的な(低圧の)蒸気加熱では概ね150℃前後が上限とされるのに対し、電熱の遠赤外線方式なら約200℃前後の高温加工にも対応できます。高温でないと縮みにくい高機能素材に向いた、第三の選択肢です。

④ ベルト加熱方式(高温縮絨向けの新方式)

温めた上下のベルトで生地を密着させながら加熱する方式です。しっかり圧をかけて熱を伝えられるため、従来方式では縮みにくかった高機能ストレッチ素材の高温縮絨で効果を発揮します。電熱オプションを加えれば、さらに高い温度での加工も可能です。

メーカー担当者からのワンポイントアドバイス

④のベルト加熱方式は、イツミグループが長年培ってきた接着機のベルト密着ノウハウを縮絨機に応用して生まれた方式です。「縮絨機なのに縮まない」という新素材の課題に対して、接着機で磨いた熱と圧の制御技術が活きています。扱う素材が一般的な生地なら①②で十分なことも多く、高機能ストレッチ素材まで見据えるなら③④が候補になります。「この素材が縮まなくて困っている」という具体的なお悩みからご相談いただくのが近道です。

視点5:冷却方式と「自然放反」の要否で選ぶ

加熱後の冷却の仕方も、仕上がりと工場運用に影響します。冷却方式は大きく2タイプあります。ひとつはバキューム吸着方式で、生地を吸着しながら冷却・安定化させます。加工後に長時間寝かせる自然放反(エージング)の工程を省ける機種もあり、置き場の削減やリードタイム短縮につながります(どの程度省けるかは素材や要求精度によって変わります)。もうひとつはファン送風方式(NTS-200 など)で、風を当てる冷却装置により生地を安定化させる考え方です。安定した仕上がりの面では基本的にバキューム吸着方式が推奨で、省スペースで量産したい工場ほど、この冷却方式の違いが効いてきます。

視点6:設置スペースとユーティリティで選ぶ

工場の床面積は限られています。省スペース・小型を重視するか、量産能力を優先するかは、設置場所と相談して決めましょう。あわせて、電源(必要な電力・相)や蒸気源の有無といったユーティリティの条件も、導入可否や工事に関わる大切なチェックポイントです。

視点7:メーカーの体制で選ぶ

縮絨機は導入後の付き合いが長い設備です。機械の性能だけでなく、ラインナップの幅・生産対応力・アフターサービスもあわせて見ておくと安心です。具体的には、小ロットやカスタムに応えられる生産体制か、保証やメンテナンス(リモート対応を含む)が整っているか、導入前に自社の生地でテスト加工ができるか、などです。

メーカー担当者からのワンポイントアドバイス

イツミは小型から量産用まで幅広いラインナップを揃え、受注生産かつ完全社内一貫生産体制で小ロットや仕様のご相談にも対応しています。導入後のメンテナンス体制も整えていますので、「買って終わり」ではなく、長く安定して使い続けられる体制かどうかという視点でも比較してみてください。

タイプ別・おすすめの縮絨機の選び方

ここまでの7つの視点をふまえ、よくある用途別に、イツミの縮絨機からおすすめの選び方を整理します。

NTS-202HS 小型の縮絨機(スポンジングマシン)

小ロット・サンプル中心/省スペース重視なら

おすすめ機種:NTS-202HS(小型)

ポイント:解反からスチーミング・加熱・振り落としまでを小型ボディで行え、1着分の短尺・小ロットにも対応。設置スペースを抑えたい工場やサンプル製作に向きます。

AIS-2000S 遠赤外線+スチームの縮絨機

素材にやさしく仕上げたいなら

おすすめ機種:AIS-2000S(遠赤外線+スチーム)

ポイント:上側の遠赤外線ヒーターと下側のスチームヒーターで加熱。ノーテンション送りやバイブレーション機構で、素材を均一に整えます。

NTS-SP5 高速・量産向けの縮絨機

高速で量産したいなら

おすすめ機種:NTS-SP5(処理スピード★5)

ポイント:アパレルメーカーとの共同開発機。天然繊維はもちろん合繊織物にも対応し、量産現場の生産性を支えます。

NTS-6200 広幅・量産向けの縮絨機(最大処理幅1,800mm)

広幅の生地を量産するなら

おすすめ機種:NTS-6200(処理スピード★5・最大処理幅1,800mm)

ポイント:上下スチームの密着加熱方式で、広幅の生地を効率よく安定処理。大判・量産のニーズに応えます。

NTS-4000 自然放反の工程を省ける縮絨機

自然放反を省いて省スペースで量産するなら

おすすめ機種:NTS-4000(処理スピード★4)

ポイント:水分・熱・バキュームを組み合わせ、1枚ベルト搬送で、多くの素材で自然放反の工程を省けます。エージングの置き場と時間を抑えられます。

縮絨機(高温型遠赤外線仕様)NTS-717FIR 本体外観

高温の遠赤外線仕様が必要なら

おすすめ機種:NTS-717FIR(高温型遠赤外線仕様)

ポイント:高温の遠赤外線加熱に対応。素材や工程の要件に合わせて検討できます。

縮絨機の選び方を2軸で整理する

たくさんの視点がありますが、最後は「処理量の軸」と「素材・仕上がりの軸」の2方向で考えると整理しやすくなります。

軸A|処理量で選ぶ(小ロット → 量産)

小型機(NTS-202HS) → NTS-4000(★4) → 量産機(NTS-SP5・NTS-6200/★5)

生産量が増えてきた・増産が見込まれるタイミングで、必要なスピード帯・処理能力の機種へとステップアップしていく考え方です。

軸B|素材・仕上がりで選ぶ

加熱方式(蒸気式/遠赤外線+スチーム/密着加熱) → 扱う素材・狙う仕上がりで選定

扱う素材(天然繊維/合繊/ニット)と狙う風合い・寸法安定性に合わせて、加熱方式や冷却方式を選びます。たとえば素材にやさしく仕上げたいなら、遠赤外線+スチームのAIS-2000Sなどが候補になります。

2つの軸は組み合わせて考えます。 「広幅・量産(軸A)かつ合繊にも対応(軸B)」のように、自社の条件を両軸で当てはめると、候補機種が絞り込めます。

今の現場の課題は何ですか? 生産量・扱う素材・設置スペースによって最適な機種は変わります。条件をお聞かせいただければ、最適な構成をご提案します。

縮絨機の導入前チェックリスト

お問い合わせやご相談の前に、次の項目を整理しておくと、機種選定がスムーズになります。

導入前に整理しておきたい7項目

  • 主に加工する素材(天然繊維/合繊/ニットなど)
  • 扱う生地の最大幅
  • 1日あたりの処理量(おおよその目安)
  • 設置できるスペース(間口・奥行き)
  • 電源・蒸気などのユーティリティ環境
  • 予算と費用対効果の考え方(本体価格だけでなく、蒸気・電力などのランニングコストも含めて)
  • 自社の生地でテスト加工を希望するか

縮絨機 導入の進め方|テスト加工からご相談まで

縮絨機導入までの相談・テスト加工・機種提案・納品サポートの流れ

縮絨機は「自社の生地でどう仕上がるか」を確かめてから決めたい設備です。イツミでは、おおまかに次の流れで導入をサポートしています。

STEP 1 お問い合わせ・課題の共有
扱う素材・生地幅・処理量・設置環境など、現状の課題をお聞かせください。

STEP 2 テスト加工で仕上がりを確認
実際の生地で、仕上がりや寸法の安定性をご確認いただけます(可否・進め方はお問い合わせください)。

STEP 3 機種のご提案・お見積り
用途に合う機種と構成をご提案し、お見積りをご案内します。

STEP 4 納品・設置・アフターサポート
設置後の操作サポートやメンテナンスもご相談いただけます。

まとめ

縮絨機(スポンジングマシン)の選び方は、処理スピードを入口にしつつ、対応素材・生地幅・加熱方式・冷却方式・設置条件・メーカーの体制という複数の視点を組み合わせて判断するのがポイントです。

  • 生産量で選ぶ → 小型のNTS-202HSから量産用のNTS-SP5・NTS-6200まで、必要なスピード帯で
  • 素材で選ぶ → 天然繊維・合繊・ニットなど、扱う素材に合う加熱方式の機種を
  • 省スペース・短納期で選ぶ → 自然放反の工程を省けるNTS-4000などで置き場とリードタイムを抑える
  • 長く使う設備として選ぶ → ラインナップ・生産対応力・アフターサービスもあわせて確認

これらの視点は独立しているので、自社のボトルネックに合わせて組み合わせて選べます。何から検討すればよいか分からない場合も、まずは現状の課題と扱う素材をお聞かせください。受注生産かつ完全社内一貫生産体制と長年の製造実績をもとに、最適な縮絨機をご提案します。

よくある質問

Q. 縮絨機とスポンジングマシンは違うものですか?

同じ機械を指す呼び方で、当サイトでは「縮絨機(スポンジングマシン)」と併記しています。縫製前の生地に蒸気・熱を与えて歪みを取り、寸法を安定させる前処理を行う機械です。なお、ウールをあえてフェルト状に縮ませる「縮絨仕上げ」とは別の工程です。

Q. スポンジングは外注と内製、どちらが得ですか?

生産量・素材の幅・納期の要求によって変わります。外注量や外注費が増えてきた、短納期・小ロットが多い、素材ごとに条件を細かく変えたい、といった場合は内製化のメリットが大きくなります。判断に迷う場合もご相談ください。

Q. ポリエステルなどの合繊にも縮絨(スポンジング)は必要ですか?

合繊は熱で寸法が動きやすいため(熱可塑性)、スポンジング加工で寸法のばらつきやパッカリングを防ぐ効果が期待できます。イツミには天然繊維だけでなく、NTS-SP5など合繊織物に対応する機種があります。

Q. 導入前に自社の生地でテスト加工はできますか?

扱う素材に合うかどうかは、事前のご相談で確認いただけます。テスト加工の可否や進め方についてはお問い合わせください。

Q. 設置にあたって蒸気(ボイラー)や電源の条件はありますか?

機種によって必要なユーティリティが異なります。設置環境(電源・蒸気の有無、スペース)をお知らせいただければ、導入可否とあわせてご案内します。

Q. 小ロットでも導入する意味はありますか?

はい。小型のNTS-202HSのように、1着分の短尺処理や省スペース設置に向いた機種もあります。小ロット・サンプル中心の工場でも内製化のメリットを得られます。

製品紹介

NTS-202HS 小型の縮絨機(スポンジングマシン)

NTS-202HS|小型の縮絨機(スポンジングマシン)

解反〜振り落としを小型ボディで。1着分の短尺に対応し、小ロット・省スペース向き。

詳しくはこちら

AIS-2000S 遠赤外線+スチームの縮絨機

AIS-2000S|遠赤外線+スチームの縮絨機

ノーテンション送り・バイブレーションで素材をやさしく均一に整える。

詳しくはこちら

NTS-SP5 高速・量産向けの縮絨機

NTS-SP5|高速・量産向けの縮絨機(処理スピード★5)

アパレルメーカーと共同開発。天然繊維・合繊織物に対応。

詳しくはこちら

NTS-6200 広幅・量産向けの縮絨機(最大処理幅1,800mm)

NTS-6200|広幅・量産向けの縮絨機(最大処理幅1,800mm)

上下スチームの密着加熱方式で、広幅の生地を安定処理。

詳しくはこちら

NTS-4000 自然放反の工程を省ける縮絨機

NTS-4000|自然放反の工程を省ける縮絨機(処理スピード★4)

水分・熱・バキューム+1枚ベルト搬送で、多くの素材で自然放反を省け、エージングの置き場と時間を削減。

詳しくはこちら

縮絨機(スポンジングマシン)製品一覧

小型から量産用まで、イツミの縮絨機ラインナップを一覧でご覧いただけます。

詳しくはこちら

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