いまTシャツプリントの世界で最も勢いがあるのがDTF印刷。とくにEC物販や小ロット生産では、「DTGより安く、高品質で、失敗しにくい」と注目されています。しかし、高品質なDTFプリントを実現するためには、熱転写プレス機の選定が最重要です。機種選びを誤ると、せっかく作ったDTFシートが “剥がれやすいTシャツ” になってしまいます。この記事では、プロが実際に現場で採用しているDTF向けプレス機の選び方とチェックポイントを徹底的にまとめました。
熱転写プレス機とは
Tシャツプリントに欠かせないのが熱転写プレス機(ヒートプレス機)です。「アイロンプレス機」などと呼ばれることもありますが、ここではまとめて“熱転写プレス機”と呼びます。熱転写プレス機は、高温のプレートと一定の圧力を使って、プリント素材を生地に定着させるための機器です。DTF印刷・昇華転写・カッティングシートなど、多くのプリント方式は最終工程で 「温度 × 圧力 × 時間」 を正しく与える必要があります。
- 温度を加える → インクやホットメルトパウダーが溶ける
- 圧力を加える → 生地に密着させる
- 時間を管理する → 品質を安定させる
とくにDTF印刷では、プレス機の精度が仕上がり品質を左右するため、機種選びは非常に重要です。
TシャツのDTF印刷とは
DTF(Direct To Film)印刷とは、専用フィルムにインクを印刷し、接着パウダーを熱で溶かして作った“DTFシート”をTシャツに転写する方式です。
DTFの強みは以下の通りです。
- 綿・ポリエステル・ナイロンなど幅広い素材に対応
- 黒Tなど濃色ボディでもフルカラー発色
- 写真・グラデーションも高精細
- 1枚から量産まで対応できる柔軟性
これにより、EC物販や少ロット生産との相性が非常に良く、2023〜2025年にかけて急速に普及しています。DTF印刷は「プリントを作る工程(印刷→粉→焼成)」と、「Tシャツへ転写する工程」に分かれており、後者の仕上がりを決めるのが熱転写プレス機の役割です。
Tシャツプリントの種類
Tシャツプリントには複数の方式があり、DTFの特徴を理解するうえでも比較が役立ちます。
(1)シルクスクリーン
古くから使われている定番方式。版(スクリーン)を作り、インクを直接Tシャツに刷り込みます。
- 発色が良い
- 耐久性が高い
- 大量ロットでコスパ最強
- 小ロットや多色デザインには不向き
企業ユニフォーム・イベントTシャツに最適です。
(2)DTG(ガーメントインクジェット)
Tシャツをプリンタにセットし、生地へ直接インクを噴射するフルカラープリント方式。
- 風合いが自然でシート感ゼロ
- 写真・多色デザインに強い
- 1枚から生産可能
- 濃色Tシャツは前処理剤が必要で耐久性は機材依存
オンデマンド印刷の定番方式です。
(3)昇華転写
昇華インクで印刷した“転写紙”を180〜200℃で加熱してインクを気化させ、ポリエステル繊維内部に浸透させる方式。
- 段差ゼロ
- ひび割れ・剥がれがほぼ無い
- ポリエステル専用
- 白系ボディ前提
スポーツユニフォームに最適です。
(4)DTF(Direct To Film)
シートを貼るように転写し、幅広い素材に対応します。
- 綿・ポリ・ナイロンOK
- 濃色発色も◎
- 1枚〜量産まで対応
- 若干のシート感は残る
現在、もっとも勢いのあるプリント方式です。
DTF印刷が伸びている理由
以前は「フルカラーTシャツ=昇華転写」が主流でしたが、ポリエステル限定という制限がありました。DTFが伸びている理由は以下の通りです。
① 素材対応力の広さ
綿・ポリエステル・混紡・ナイロンなど、“売りたいTシャツを選べる”のがDTFの最大の強み。
② 黒Tシャツでも鮮やかにプリントできる
白インクの使用により、濃色ボディでも美しく発色します。
③ 少ロット・物販ビジネスに最適
- 1枚から作れる
- 在庫レス運用が可能
- デザイン種類が多いブランドに最適
- EC需要と完璧にマッチ。
④ 昇華では取れなかった“綿Tシャツ市場”を抑えられる
これまで綿TシャツのフルカラーはDTG一択でしたが、設備費が安く扱いやすいDTFが市場を奪いつつあります。
DTF向け熱転写プレス機に必要な特徴
DTF印刷は「温度」「圧力」「時間」の3要素に非常に敏感です。そのため、プレス機の性能が仕上がり・洗濯耐久を大きく左右します。以下、選定時に必ずチェックすべきポイントです。
① DTFは昇華と同じ“熱転写プレス機”を使うが、より強圧が必要
DTFは、ホットメルトパウダーを溶かして生地へ押し込むため、昇華転写よりも強い圧力(中〜強圧)が必要です。
圧力不足は、
- 角の剥がれ
- フィルム剥離の失敗
- 洗濯耐久の低下
- 表面のザラつき
につながります。
② 駆動方式は“エアー式”が最有力(商用向け)
プレス機の駆動方式には以下があります。
- 手動式(ネジ式)
- モーター式
- エアー式(空圧シリンダー)
特にエアー式は、
- 常に一定の圧力
- 強圧に強い
- ムラが出にくい
- 作業者の負担が少ない
と、商用DTFとの相性が最も良いタイプです。
③ 温度ムラ・圧力ムラの少ない“安定性”が必須
温度ムラの少ない機種の特徴
- 厚い鋳造アルミプレート
- 端までヒーティングコイル
- PID温度制御(±5℃以内)
- プレートの平面度が高い
圧力ムラの少ない機種の特徴
- スイングアウェイ式
- 剛性の高いフレーム
- エアー式で均一圧力
- 端〜中央まで均一に圧力がかかる設計
DTFは昇華転写よりムラの影響が大きいため、ここは絶対に妥協できません。
④ 生産性:下ごてが複数あると効率が急上昇
DTFは、位置合わせ → プレス → 冷却 → 剥離という工程があり、冷却待ち時間がボトルネックです。
そのため下ごてが複数だと効率が大幅アップします。
- 1面より2面
- 2面より3面…
ステージ数が増えるほど、作業が止まらず循環し、実質的な生産量が大きく向上します。
⑤ 生産効率を高めるその他のポイント
- オートオープン機能 → 焦げ・過熱・仕上がりブレ防止
- プレートサイズ38×38cm以上 → A3対応で汎用性高い
DTF印刷向けおすすめ熱転写プレス機
① 初心者におすすめ!スイング式エアープレス機《ICD-45》

1面タイプのエアー式・スライド式熱転写プレス機。熱伝導性の高いアルミゴテを採用しており、温度ムラが少なく仕上がりが綺麗。スライド式で作業しやすく、最初の1台に最適です。
② 生産効率を求める方へ!二面体エアープレス機《ICW-54》

二面タイプのエアー式・スライド式プレス機。プレス中にもう片方へセットできるため、作業効率が約2倍に向上します。
ICD-45と同じアルミゴテ採用で、高品質な仕上がりを実現。
③ 更なる効率化を実現!四面体自動回転プレス機《RAF-454》

四面トレーが自動回転し、セット → プレス → 冷却 → 2回目プレス の工程を連続で行えるため、1台でDTFのプレス工程を完結できます。複数工程が同時並行で進むため、生産効率は約2倍に向上します。
まとめ
DTF印刷は、プリンタの性能以上に熱転写プレス機の品質が仕上がりを左右する方式です。
とくにDTFは、
- 150〜165℃の安定した温度
- 中〜強圧の均一な圧力
が求められ、プレートの構造やフレーム強度、駆動方式が品質に直結します。また、複数下ごてやオートオープン機能を備えた機種は、生産性を大幅に高め、安定した物販運用に欠かせません。言い換えれば、DTFは「どのプレス機を選ぶか」で、仕上がりと耐久性が決まります。
これからDTF印刷を始める方も、すでに運用していて品質をもっと上げたい方も、ぜひ目的や作業量に合った最適な熱転写プレス機を選び、DTFプリントビジネスをステップアップさせてください。